モントリオール旅日記23(八月九日)

八月九日(日)

朝食はサニーサイド

 きょうは日曜日。
 日曜日というせいもあるのか、それともだんだんと現地時間になれてきたせいか、起床時間がどんどん遅いほうにずれていってしまうわたしたちです。
 というわけで、きょうもきょうとて、惰眠をむざぼり、起きたら、けっこうなお時間。
「ねぇ、きょうの朝食はホテルじゃなくて、きのう、駅のそばで発見したレストランにしない?」
「ええ、やだぁ」
 と、ホテルのビュッフェにこだわる息子。
「いいじゃないか、たまには」
 2対1の多数決で決まり、朝食をセントラルステーションのすぐそばのお店、オメガに行くことになりました。
 このお店、おもに朝食と昼食に定食を提供する、いかにも駅のそばにあるというタイプのお店。きのう、のぞいたときは、もう閉まっていたのですが……さて、きょうは……行ってみると、お店にお客が誰もいません。店内もがらーんとしていて、「あれ?」という感じ。
 で、しばらくすると、お店のなかから人が出てきて、ドアを開けています。
 そっか。日曜日はすこし遅めの開店だったのですね。
 ここで頼んだのは、シンプルな朝食セット。フランス語だと、プチ・デジュネです。
 卵料理(卵の数によって、値段がちがう)とベーコンとジャガイモと玉ねぎのつけあわせ、ミニフルーツセット、紅茶かコーヒーかミルク、それにトーストパンがついて、六ドルちょっとだったかな。
 卵の料理の仕方も注文ができます。
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 わたしはひとつ覚えの「サニーサイド」を注文。旦那は「ターンオーバー」。息子はこれまた、自宅でも毎朝食べている「スクランブルエッグ」。
 ホテルのビュッフェにこだわっていた息子ですが、ここの朝食もけっこう気に入って食べておりました。
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 ね、たまには、ほかのところで食べるのもいいでしょ?>息子。

 朝食のあとは、いったんホテルに戻り、それから再度出撃!
 なんとはなしに、まずは国際会議場へ。
 べつに企画とかに出るわけではないのに、やはり一日に一回はここに顔を出しておかないといけないような気になるのは、大会参加者としての矜持? それとも、免罪符?
 といっても、わたしたちがおもにぶらぶらするのは、ディーラーズルームやアートショーがあるスペース。
 こちらでは、各種イベントの受付や、さまざまなパンフレットも展示されています。
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 パンフレットのなかには、来年のTOKON10のものも。
 来年、カナダから参加者がいらっしゃるといいけど……でも、あまりに交通費がかかるからなぁ。
 とりあえず、ここを一回りしてから、またまたモントリオールの旧市街に行くことに。


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モントリオール旅日記22(八月八日)

マスカレードと花火とルームパーティ

 息子がのったりのったり食べていたため(この子は、給食でも時間内に最後まで到達しないほど、食べるのに時間がかかる)、マスカレード(大会参加者によるコスチュームプレイ)が始まる八時に、国際会議場にはたどりつけず。
 行ってみると、もう始まっていました。
 ところが……
 暗い会場をのぞきこんだ瞬間、息子、「ぼくはここに入らない」と大抵抗。
 そういえば、彼、暗闇が大の苦手。映画館などで、徐々に暗くなるのはなんとか我慢できるようになったけれど、自分がいきなり暗いところへ入っていくのはまだダメみたい。
「しょうがないなぁ」
 というわけで、わたし一人が中に入り、ビデオ撮影(暗いので、カメラ撮影はあきらめました)。旦那は息子につきあって、会場の外から鑑賞ということになりました。
 マスカレードは、アメリカ国内にくらべると、質、量、ともにちょっと物足りなかったかな。
 でも、相変わらず、自己陶酔型の派手な衣装あり、かなり雄大な体型なのに、このドレスを着るのかぁという無茶ぶりあり、自分の体型そのままのデザインのロボットに扮する人ありと、目を楽しませてくれました。日本の大会とちがうのは、みなさん、ちゃんと寸劇をしてくれるところかな。
 なかで、しんみりしたのが、カボチャ大王が現われたかと思うと、月の仮面をかぶった人物がつづいて現われ、その人物が腕を広げると、一面の幕となって、そこにカボチャ大王を待つチャーリー・ブラウンたちの絵が広がるというもの。
 このワールドコンの前に急逝した、SF情報誌ローカスの編集人チャーリー・ブラウンを偲んでの企画でした。
 ステージ上の演技が終わったあと、審査があって、各賞の発表という段取りなのですが、わたしは旦那と息子と合流するために、さっさと席を立ちます。
 で、携帯が振動したので、見ると、旦那から「七階にいます。なんか、花火が見えるそうだ」というメール。
 あれあれ、ホテルに戻っちゃったのかな、彼ら。
 たまたま出るときに会ったI神さんといっしょにデルタ・センターヴィルホテルまで戻ります。
 I神さんはそのままルームパーティへ。
 わたしは七階の自分たちの部屋に戻ったのですが……。
 誰もいません。
 え?
 あわてて、旦那に電話。
「七階っていうからホテルに戻ったけれど、いないじゃない!」
「バカだなぁ、こっちの七階だよ」
「バカとはなによ、バカとは。どこの七階よ」
「だから、会議場の七階」
 というような、夫婦喧嘩があったのち、なんとか話が見えてきて、わたしはまた国際会議場へ引き返します。
 まったく、まぎらわしいメールをよこすんだから、プンプン
 でも、会議場の七階に行って、レストランを抜け、屋上に出てみたら……
 旦那への怒りも消えるような、花火の饗宴がわたしを迎えてくれました。
 旦那と息子はちゃっかり椅子に座って、ほかの参加者たちといっしょに花火鑑賞にいそしんでます。
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「すごいね」
「音楽と連動して花火をあげているんだって。南アフリカから来たグループらしい」
 屋上に設置されたスピーカーから、おもに映画音楽(「ジュラシック・パーク」や、旦那が大好きな007といったもの)が流され、その音楽にあわせて、花火が打ち上げられているのです。
 日本の花火とはまたぜんぜんちがった面白さ。
 光と音の洪水を堪能した花火大会でした。

 そして……。
 花火のあと、ホテルに戻った息子、眠くてふらふらしているにもかかわらず、ルームパーティに行くと主張。
 旦那は部屋に残って、仕事(ネットブックを持ってきたため、旅行先でも仕事ができるようになったのは、いいんだか、悪いんだか)、わたしが息子につきあって、ルームパーティの開かれている二十八階へ行くことに。
 うう、こちらも早く寝たいんですが……。
 でも、デンバーのサンキューパーティでお菓子とジュースをゲットした息子は、それで気がすんだようで、あっさりパーティから離脱。
 さすがに、彼もお疲れだったようです。

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モントリオール旅日記21(八月八日)

小洒落たカフェでお夕食

 一時間半のお昼寝を終えて、目を覚ましたら、もう時刻は夕刻。
 今夜はマスカレードがあるのですが、そのまえに夕食をすませておきたいところ。
「いままで行ったことのないショッピングビルに行ってみようか」
 というわけで、ホテルからほど近い、プラス・ヴィルマリーに行くことにしました。
 まずはホテルからワンブロックしか離れていない、セントラル・ステーションをのぞいてみます。(プラス・ヴィルマリーは駅のお隣の建物)
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 欧米の鉄道の駅というと、見上げるような高い天井が印象的ですが、この駅もそうでした。さすがになかなか広い駅の構内。ホームは地下にあるようで、地上からは見えませんでしたが、時間が早ければ、構内のフードコートで朝食、昼食が食べられそうです。
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 ここで、息子が発見したのが、構内コンビニに飾ってあった赤い日本提灯。「刺身」とか「寿司」とか書かれているのが、えらく気に入った様子。
「このお店、お寿司売ってるのかしら?」
「ダメだ、もうショーケースにはなにもないよ」
 どうやら、週末の土曜日はどこも早仕舞いのようです。
「ひょっとして、ショッピングビルのフードコートももう閉まっているかしら?」
 悪い予感というのはえてして当たるものです。
 せっかく言ったプラス・ヴィルマリーのフードコート。土日はもう終わっている時間帯でした。
「どこで夕食を食べよう」
「外のカフェは?」
 モントリオールは、この時期、たぶん一年でいちばんいい季節なのだと思います。寒くもなく、暑くもなく、夕方ともなれば、なかなか暮れないお日さまの光を浴びながら、舗道に設置されたカフェで、人々はゆったりとお茶を飲んだり、夕食をとったり。
 ちょうど、目の前にあったそんなカフェに入ってみることにしました。
「お、きみのきらいな小洒落たカフェで夕食だ」
 旦那にからかわれて、息子は口をとんがらせます。
 彼、この手のカフェで食べるということ自体が、気恥ずかしいらしいお年頃。ま、舗道を通り過ぎる人からもろ見えで食べるというのは、なかなか気疲れするのかも。
「ええ、ここに入るの? ぼくはそんな予定じゃなかったのに」
 彼のお得意フレーズ、「そんな予定じゃなかった」を連発するも、おなかが空いてきたのには勝てません。
「じゃ、ほかのどこにするんだ?」
 旦那に責めたてられ、不承不承、承知。

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 でも、実際のところ、そこのカフェでとった夕食の味は……ううむ、まずくはなかったけれども、すごく美味しくもなかったのです。
 わたしが頼んだティラピアのムニエルは、まあまああたりだったかな。味がちょっと薄かったのですが、つけあわせのインゲンのバター炒めが濃厚で、いっしょに食べるとちょうどよい感じ。
 旦那が頼んだステーキはちょいと焼きすぎ。
 息子が頼んだチキングリルは、いちばんダメだったかも。だって、焼きすぎて、硬かったんです。
 けれど……。
 そこのカフェに座って、夕暮れ迫るモン・ロワイヤルの丘を見ながら、ぼうっと涼風に吹かれ、道行く人を眺めていると……なんともいえず、幸せな気分に浸れたのでした。
 週末ともあって、みんな、なごやかで華やかな雰囲気。
 この雰囲気を味わえたということだけでも、このカフェで食事をしてよかった、なんて思ったりして。
(ちなみに、この画像で息子がかぶっているのが、ワンダラーショップで買ったケベック州の紋章入りキャップ)

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モントリオール旅日記20(八月八日)

電池切れ

 午後は、サンカトリーヌ通りをぶらぶら歩くことにしました。
 きのうは、レ・ジャルダンのビルまでしか行かなかったものね。
 お天気もよく、街歩きには絶好の日和。
 サンカトリーヌ通り沿いには、デパートやお店のほかにも、古い教会とか、銅像のある公園とか、いろいろあります。
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 モントリオール一の繁華街ということだけあって、かなりの人出です。ただ、街角にたたずんでいる方が複数いらっしゃるのがちょっと……。モントリオールは治安がいいというのが売り物なので、怖さはないのですが、不況の波はここにも来ているんだなぁという実感。
 ただし、その方々はフランス語を話すので、わたしたちにはよくわからず。息子も不審には思っていた様子でしたが、それより、なにより、歩き出してしばらくたったら、彼、電池切れを起こしてしまいました(^^;)。
 なにせ、突然、足が止まるかと思うと、いきなり、舗道に座りこんで動かなくなってしまうのです。
 これは、まずい。
 かなり、まずい。
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「もう歩けないのか。だったら、ホテルに戻るか?」
「ちがう。ちょっと地図を見てるだけ」
 いえいえ、きのうの寝不足がたたって、きみは電池切れを起こしているだけなんだよ。
 しかし、自分ではそのことを納得しようとしない、往生際の悪いやつ。
「じゃ、ここからちょっと地下に入ってみるか」
 そう、モントリオールは冬の寒さを逃れるために地下街が発達した街。息子が電池切れを起こして座り込んだ角、古い教会(プロムナード・カテドラル)のそばには、地下街への階段が口を開けていたのでした。
「地下街に行けば、ベンチかなんか、あるにちがいない」
 息子をなんとか起こして、地下街にもぐってみます。
「お、本屋があるぞ」
「モントリオールのカレンダーがあるかも」
 我が家では、夏に海外旅行で出かけた先の地で翌年のカレンダーを買うということを慣例にしてまして、今年のカレンダーは去年買ったデンバーのもの。来年はモントリオールのカレンダーをかける予定となっていたのでした。
「ここで買っちゃえ」
 手ごろなカレンダーを見つけて購入。
 この地下街、なかにはフードコートもあって、そこそこの広さ。
 息子の休憩もかねて、ちょっとフルーツや飲み物で軽くリフレッシュメントといきましょう。

 この地下街で、フードコートとともにもうひとつ発見したお店は……カナダの一〇〇円ショップ。もちろん、こちらではワンダラーショップであります。
 日本の一〇〇円ショップと似たような品揃えですが、やっぱり、一〇〇円ショップはおもしろい。
 ここで、ケベック州の紋章の入ったキャップ、ネクタイ、ビニールポンチョなどを購入。みんな、よく見ると、メイド・イン・チャイナではありますが、ほかでは買えませんものね。

 しかし……リフレッシュメントを入れても、身体が重たい、眠いものは眠い。
 ここはひとまずホテルに戻りますか。
 そして、ホテルに戻って、わたしたちがしたことは……お昼寝でした(^^;)。


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モントリオール旅日記19(八月八日)

八月八日(土)

ワールドコン、ぼく的メイン

 前日、というか、同日の午前三時過ぎに寝たわたしと旦那と息子が、朝起きられるわけもなく……なんとかベッドから抜け出したのは、十一時すぎ。
「もう、ホテルのビュッフェは終わってるね」
「きょうはブランチといきましょう」
「え、どこで食べるの?」
「国際会議場の一階にあったカフェなんか、手ごろでいいんじゃない?」
 のろのろと着替えて、きのう発見したルートをつかって国際会議場へ。
 お目当てのカフェは、ヴァン・ヒュッテという名前で、どうやらチェーン店。見た感じはスターバックスにそっくり。でも、ヴァン・ヒュッテというからには、スタバとはメニューにちがいがあるはず。仔細に見てみると、メニューにきょうのスープとミニパニーニのセットを発見。それを注文します。それにしても、きのうのお昼にもパニーニ食べたなぁ。ファストフードのマストメニューにパニーニが入っているということは、パニーニ、モントリオールではかなり一般的なんですね。
「あーあ、終わっちゃった」
 と、食べながら、息子、ため息。
「どうしたの?」
「ぼく的には、ワールドコンは終わったようなものなんだ。だって、ジャパンパーティが終わっちゃったんだもの」
「なに言ってるのよ、ワールドコンのメインイベントはこれからよ。マスカレードにヒューゴー賞授賞式と……」
「でも、ジャパンパーティがぼく的にはメインだったんだもの。きょうもやる、ジャパンパーティ?」
「連日やったら、日本人参加者、シぬよ」
 息子的にはジャパンパーティがワールドコンのメインだとは知りませんでした(^^;)。彼、本を読まないのでSF大会スタッフはムリかもしれませんが、十年後、ルームパーティ要員なら、大丈夫かも。
「でも、ジャパンパーティは終わりだけど、きょうもあそこの階ではルームパーティやってるはずよ」
「じゃ、夜はそこに行く」
「え、また行くのかぁ?」
 いったい彼の心の琴線のどこにルームパーティが触れたのか……謎です。

 ブランチのあと、二階に行って、ひとめぐり。
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 息子、ここで、大会参加記念サインを入れてきました。日本語のサインって、やっぱり目立ちますね。


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モントリオール旅日記18(八月七日)

長い長いルームパーティの話

 さて、おなかもくちくなり、わたしたちの臨戦態勢も整ったところで、ホテルに戻ります。
 まずは自分たちの部屋に寄り、息子の戦闘服を持参して、ルームパーティ会場へ。
 戦闘服って、つまり、浴衣です。息子が幼稚園年長のとき、夕涼みの会で盆踊りを踊るというので、このわたしが、慣れないミシンでがんばって縫った(一部手縫い部分もあり)サンリオの新幹線柄の浴衣。早いものでもう五年目の夏を迎え、とうとう今年で着るのが最後になりました。あんなにもたっぷりめのサイズに作って、腰上げ、肩上げしなければ着られなかったのに、今年、羽織らせてみたら、着丈はまだ充分あったものの、袖が短くなっていたのです。ついに今年は肩上げなし。(でも、この浴衣、どこで着ているかというと、夕涼み会のあとは、ワールドコンでしか着ていないという……海外向け戦闘服なのでした(^^;))
 ほんとに子どもが大きくなるのは早いと、しみじみ実感するまもなく、とりあえず、まだ客の入ってないお部屋で、Tシャツと半ズボンの上から浴衣を着せ、兵児帯をしめてやります。(兵児帯は亡母に買ってもらった、それなりにいいもの)
 H井さんも星雲賞授賞式から戻ってきて、お好み焼き用の電熱器もスタンバイ。ところが、ここでまたアクシデント発生。
 なんと油がありません。
 でも、なんとかラードが手に入り、ほっとします。これで、大丈夫かな?
 息子が着替え終わったところで、Tさんと連絡をとり、またもや自分の部屋に引き返して、そこでわたしも浴衣に着替えます。というか、Tさんに着付けてもらうのですが(^^;)。たしか、去年のデンバーのときもそうで、「来年こそは一人でなんとか着られるようになりたい」と野望を口にしていたのですが……今年も野望は果たせず。
 ようやく浴衣姿のTさん、わたし、息子と三人そろい、Tさんの旦那さまYさん、お嬢さんY子ちゃんもパーティ会場に到着。そうこうするうちに九時もまわり、いよいよパーティがオープン。
 最初はお客さんも少なく、息子、ドアの外で光るうちわ(日本から持参)をふりまわし、「ジャパンパーティ」と連呼しては、客引き。
 お客さまが入ってきたら、息子とY子ちゃん二人で、折鶴シールを相手のIDカードにペタリと貼って、グリーティング。
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 どうもこれが評判になって、後日、会場で配布されていたニューズレターに「パーティの模様」としてこんな英文が掲載されていました。
 The Japanese party is quite different today; we are greeted at the door by charming tiny Japanese children and fed stir-fried things I don’t recognize. I eat tempura maple leaf; apparently a Japanese delicacy.
 たぶん、「ちっちゃい」というのは、息子とY子ちゃん両方に、そして「チャーミング」というのはY子ちゃんにかかる形容詞だと思われます(^^;)。
 この記事にも書かれていた、日本からわざわざH井さんが持ってきたもじみのてんぷら、そして、最初はH井さん、あとはH田さんががんばって焼いてくれたお好み焼きが評判を呼んだのか、お客さんがひっきりなしに入ってくるようになりました。
 わたしが旅行前ちびちび作った折り紙シール、たしか二五〇枚ぐらい作ったはずなのに、あっというまになくなり……そのあとは、H井さんが持ってきた金魚シールを貼り、それもなくなり、さらにお寿司シール、歌舞伎シール、舞妓シールと……次から次へとグリーティング。
 浴衣姿のわたしとTさんは、息子とY子ちゃんが貼りそこねたお客さんにシールを貼ったり、「こんにちは」「ありがとうございました」のご挨拶。
 喉は枯れ、ずっと立ちっぱなしのために足はぐらぐら。
 旦那とY岡さんは中二階で、飲み物サービス担当で、これまたてんてこまい。飲み物をバスタブのなかで冷やすのは、この手のルームパーティのお約束です。旦那に言わせると、手持ちで持ってきて、本数が少なかった日本酒がいちばん人気で、あっというまになくなったとか。
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 でも、いちばんがんばっていたのはやっぱり、お好み焼きを「学園祭以来」という枚数を焼いていたH田さんかもしれません。わたしもすこしいただきましたが、ちゃんとしっかりお好み焼きの味がして、美味しかったです。
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 とにかく、部屋のなかでの歓談は、お客さんたち同士が独自で盛り上がってくれて盛況。さすがに来年の日本SF大会(TOCON10)の参加申込みをするかたはどなたもいらっしゃらなかったのですが(そのためのプリントも用意してはいたのだけれど、遠距離で費用がかかるというのもあって、みなさん二の足を踏まれました)、それはそれとして、日本SFファンダムここにありというPRとしてはなかなかのものだったのではないでしょうか(←自画自賛)。
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 とにかく、このパーティ、延々とつづき……気がついたら、午前二時。
 途中、パワー切れの息子は中二階に避難して、一時休んでいたりしたようですが、Y子ちゃんが寝に帰ったあとも、がんばって最後まで残り、飲み物担当の旦那の手伝いをすこしはしていたようです。
「そろそろ撤収しましょう」
 お客さんがようやくまばらになったころ、「パーティは終わりました」の手書きの札を出してドアを閉めます。
 現状復帰ということで、残っていたお菓子や飲み物類を片付け、ソファ、サイドテーブル、フロアランプをもとあったとおぼしき位置に戻し……ようやく全部片付いたのは、三時近かったでしょうか。
 自分たちの部屋に戻ると(エレベーターでの垂直移動だけで戻れて、ほんとによかった)、倒れこむようにしてベッドにもぐりこんだわたしたちでした。


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モントリオール旅日記17(八月七日)

異臭の謎、そしてヌーボックスの謎

 ホテルの部屋に戻ったのは、午後三時過ぎ。ちょうど、H井さんから携帯に電話があって、きのう、うちの部屋であずかったルームパーティ用の荷物をパーティルームの2818号室に運ぶことになりました。
「ここの段ボールを運べば……あれ、なにか臭いません?」
 段ボールから異臭がします。なにか、生ものの臭いというか、妙によく知っているような臭いというか。
 そういえば、なんとなく朝から気になっていたかも、この臭い。
 段ボールをあけて、ひとつひとつ、品物を出していくうちに、異臭の源を発見。
 それは……。
 エビでした(-_-;)。
 きのう、IGAで買った生のエビ。なんの手違いか、たんなるわたしたちのミスというべきか、段ボールで一晩、常温放置の羞恥プレイ。いくらモントリオールが涼しいとはいっても、ホテルの部屋で常温で一晩では、異臭も発生して当然です。
「しまったぁ」
「これは、お好み焼きにエビはあきらめましょう。ぼく、干しエビも持ってきてますから、そっちで代用しますわ」
 H井さんはすばやく代替案を出し、とりあえず、そのエビはビニール袋にくるんで、二八階までほかの品物といっしょに運びます。
 H井さんよりも、なぜかショックを受けていたのは、うちの息子。自分のせいだと殊勝にも思いこんだ……というわけでもなさそうですが、このエピソードは彼の失敗リストに加わり、帰国してから、じぃじ、ばぁばにこのことを話すのをいやがりました。
 そんなこんなで、きのうのジャパンパーティとまったく同じ部屋に品物を搬入。これから、いよいよルームパーティの準備です。
 なにしろ、直前になって、このパーティにかかわる人たちのキャンセルが二組もあって、人員は必要最少人数。息子もしっかり戦力として数えられております。
 とりあえず、まずは家具の移動。人間の動線を考えて、ソファの位置を変更し、二階に飲み物を出すカウンターを設置。
「こういうふうに人が入ると、ここでたまって、動けなくなるので、ここにこれを置いて……」
 そんな話をしていると、息子、隣でやけににこにこ。自分も相談に加わり、意見を言えるという体験が彼にとってすごく嬉しいことなのでした。
 モントリオールに着いたばかりのI神さん、ワールドコン参加は初めてのSさんなど、すこしずつ人数も集まり、日本から持ってきたお菓子をお皿に盛り、セッティング。
H井さんは、星雲賞授賞式で星雲賞を受賞した作家さんに渡すという大役のため、部屋から離れ、部屋のカギをあずかったわたしたちは折り紙を折ったり、飲み物の準備をしたりと、大忙し。あっというまに六時近くになります。
しかし、そのあいだも気になるのは異臭の源。ホテルのゴミ箱に捨てるというのもはばかられます。
「ぼく、おなかがすいちゃった」
「パーティが本格的に始まるのは九時だから、いまのうちに、なにか食べてきたら」
 I神さんのありがたいお言葉に部屋のカギをあずけて、わたしたちは自分の部屋経由で、なにか食べるために移動。異臭を放つエビ爆弾は、途中のフードコートのゴミ箱に息子が投下。なんとか、異臭から逃れることができました。

「なに食べる?」
「あれにしてみようか、ヌーボックス」
 ヌーボックスというのは、国際会議場の一階のフードエリアにあるファストフードのお店。ほかのお店がランチタイムがメインで、夕方にはあっさりと閉まってしまうことが多いのに、ここは夕方まであいているので、きのうは賑わっていました。
「え、あそこ?」
しかし、お店のメニューは、なんちゃってチャイニーズとなんちゃってジャパニーズが合体したような感じ。店名がヌーボックス(ヌーはたぶんヌードルの略)というだけあって、紙箱で供されるので、たしかにお手軽ではあるのですが。
「いいじゃないか、なんちゃってチャイニーズ、上等じゃん」
 アメリカでもチャイナ・エクスプレスとかいうチェーン店がけっこう気に入っている旦那の強力推薦により、夕食はヌーボックスとなりました。
 お店に入ると、まずは自分の頼むものをメニューメモにチェックを入れます。基本的に、ごはんかヌードル。その上にかけるものをオプションでいろいろ選べるというスタイル。旦那はごはん、わたしはチャイニーズヌードルをメインにフィーチャー。カウンターでしばらく待つと(作っているのは、バイトのようでした)、出来上がり。
 国際会議場の一階のベンチで食べてみました。
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 お味は……ううむ……やっぱり、なんちゃってチャイニーズというか、なんというか。非常に濃い味ですね。息子と旦那にはわりと好評ではありましたが、わたしは途中で味に飽きてしまいました(^^;)。


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モントリオール旅日記16(八月七日)

ついに地下ルート発見!

 さて、そんなこんなで旧市街をたっぷり散策。ルームパーティの準備もあることだし、シャトー・ラムゼイ博物館に入る時間はパスして、そろそろ、ホテルに戻らないといけません。
 さっき横切ったジャック・カルティエ広場を今度はもう少し上のブロックで横切り、ネルソン提督の像を発見したり、モントリオール市庁舎の前を通ったりしながら、ホテルに向かいます。
「モントリオールの街って、セブンイレブンがないのね」
 コンビニらしき、フクロウのロゴのチェーン店はあるのですが、セブンイレブンは見かけません。おまけに、そのフクロウのロゴのお店、フクロウのくせに、夜は早くに閉まるみたい。
「マクドナルドもあるけど、サヴウェイのほうが圧倒的にシェアがあるわね」
「スターバックスもあるにはあるけど、ほかのチェーン店のほうが目立つな」
 途中で、息子が「撮り終わって、フィルムがなくなった」と騒ぐので、カメラ屋さんに寄った以外は、寄り道はせず、国際会議場の近くまでたどりつきました(ちなみに、息子がばぁばから貸してもらったカメラはAPSフィルム専用カメラ。モントリオールのカメラ屋さんでは、もはや、APSフィルムの在庫はないようでした)。
「思ったんだけどさ」
「え、なに?」
「デルタから国際会議場に通じる地下ルート、逆をたどっていったら、ホテルのどこに出るかわかるんじゃないかな?」
「たしかにそうね。逆転の発想。行ってみましょ」
 国際会議場まで戻ったところで、息子がなにやら発見。
「ね、これ、なにかの絵になっているよ」
 国際会議場の壁面は、色とりどりのガラスで覆われているのですが、それがなにかの絵をかたどっているとは……。
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 ちょっと離れたところから見てみると、あら、ほんとだ。息子が言うとおり、人の顔と手が見えてきました。写真を撮ってから、国際会議場の地下に降り、デルタ・センターヴィルホテルの表示を頼りに、地下道をてこてこ。
 そうしたら、ホテルの隣の建物の地下にあるとおぼしきフードコートにぶち当たりました。惜しいことに、そのフードコートは完全にビジネスパーソン向け仕様。要するに、営業時間が朝食からランチタイム、せいぜいが五時ごろまでのようです。休日はクローズドするもよう。でも、そのフードコートをぬけ、エスカレーターを上っていくと、ついに「デルタ・センターヴィル」と書かれたガラスのドアにたどりついたのです。
 ドアをあけ、通路を抜けていくと、そこは……
 わたしたちが、きのうも一昨日も朝食を食べたレストランのなかでした!
 そういえば、朝食をとっているとき、やけにレストランのなかの通路を行く人が多いなとは思っていたのですが、まさか、こんなところに地下ルートが潜んでいたとは……。
「これじゃ、わからないよね」
「わたしたちは、隠し通路を発見した。レベルが一つ上がったってところかしら」
「これで、たとえ雨が降っても、少なくとも国際会議場までは濡れずに行けるな」


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モントリオール旅日記15(八月七日)

空砲にびっくり!

「これから、どこへ行く?」
「旧市街をぶらぶらしてみない?」
「ママはぶらぶらするのが好きだねぇ」
 などという不毛な会話ののち、旧市街をぶらぶら(^^;)。
 石畳の舗道を歩きながら、通りすがりのお店のショーウィンドーをのぞいていきます。旧市街のこのあたりでのお店でいちばん多いのは、いわゆるお土産物屋さん。カナダとかモントリオールとか書いたコースター、マグネット、Tシャツ、帽子などなど、どこの観光地でも売っているようなものに混じって売られているのが、ご当地土産、メープルシロップ! どのお店にも、メープルシロップの壜、メープルシロップをつかったお菓子、メープルシロップをつかったなんとかがずらっと並んでいます。
「ちょっとここ、入ってみない?」
 半地下のお店に入ってわたしが買ったのは、メープルシロップティーバッグに、メープルシロップココア。ほんとうにメープルシロップだらけ。
「この道をまっすぐ進んだら、どこへ行くの?」
「あの銀色の丸屋根の建物のところまで行ったら、引き返しましょ」
「あのランドマークか。あれ、なんの建物なのかな?」
「きっと寺院よ」
 天気もよく、散策するには絶好の気温。
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 いろいろな見世物(風船をつかったジャグラーとか)の出ているジャック・カルティエ広場を横切ると、銀色の丸屋根の建物まであとすこし。寺院だとばかり思っていましたが、ガイドブックで確認したら、いまはショッピングビルとしてつかわれているボンスクール・マーケットでした。
 建物のまえではワインを試飲させながら売っています。
 マーケットのなかにももちろん入ります。
 なかの雰囲気は、入っているお店の感じといい、建物の持つ古めかしさといい、横浜の赤レンガ倉庫のショッピングモールによく似ていました。
 買いたいものはいろいろあったけれど、息子が目を光らせていたので、断念。
「そろそろ、ホテルに戻る方向で……」
 などと言って、外に出ると、どこからか勇壮な音楽が聞こえてきます。
「なんか、催し物があるのかしら?」
 ハメルンの笛吹きの音色にひかれるネズミ(?)よろしく、音楽にひかれて歩き出すと、坂道の途中で音楽の主に追いつきました。古風な軍装に身を包んだ一行が、太鼓をたたき、笛の音を鳴らしながら、行進しています。
「これ、なに、なに?」
 息子が小声で騒ぎます。
 坂道を登りきったところで、その一行はいったん停止。角を曲がったところになにかあるみたい。
 時間を見計らっていたのか、ふたたび、太鼓の音も勇ましく行進です。よく見ると、太鼓と笛の担当以外の人たちは、これまた古風な銃を肩に担いでいます。
 そのまま彼らは角地にある建物の敷地に入っていきました。
 平屋建ての古風な建物は、あとでガイドブックを見たら、シャトー・ラムゼイ博物館。一七〇五年に当時のモントリオール総督のために作られた建物で、アメリカ独立戦争時には反乱軍のアジトとしても使われたとか。
 あの古風な軍装は独立戦争当時のものを模していたんですね。って、あとからガイドブックで知る知識(^^;)。行進を見ていたときは、「なんだろ?」状態でありました。
 ともかく、そのご一行、建物のまえに一列に整列すると、肩にかついだ鉄砲をしゃっしゃっと振り回し、それを見ている観光客はビデオやカメラで撮りっぱなし。
 もちろん、こんな面白い見世物は撮らなくちゃと、旦那もビデオをまわします。
「ねえ、ねえ。あの人たち、口のなかからなんか白い紙を吐き出したけど?」
「あれは火薬を包んでいる紙。昔の先込め銃は、銃弾じゃなくて、火薬を点火させる方式だったから、火薬を紙に包んで持ち歩いて、つかうときになるとああやるんだよ。本格的だなぁ」
 とか、言いながら、ビデオを撮り終わってバックパックにしまったところで……
 ドカーン!
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 空砲が轟いたのです。
 いやぁ、驚いたのなんのって。
 観光用のデモンストレーションで、まさかちゃんと発射するとは思いませんでした。(このあたりが日本人の感覚なのかも)
 空砲でも、こんな大きな銃声がするんですね。しかも、至近距離。息子は文字どおり目をまんまるくしてました。いやぁ、いい経験をしたね、きみは。
 しかし、肝心なところでビデオを撮ってないうちの旦那って……(^^;)
 それにしても、なんの予備知識もないままに歩いていて、こういう催しものにぶち当たるわたしたちは、運がいいんだか、なんだか。


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モントリオール旅日記14(八月七日)

ラズベリー味はお好き?

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 埠頭の先から、旧市街を眺めると、これまた不思議な光景。思わず、カメラで激写。っていっても、わたしが撮るのですから、たかがしれていますが(^^;)。
「もう、帰ろうよ」
 と、息子が主張するときは、たいがい、彼のおなかがすいているとき。
「そろそろお昼だし、ここで食べる? それとも、舗道にテーブル出しているようなカフェかなんかで食べる?」
 キング・エドワード埠頭にはサイエンスセンターのほかにも、小さいフードコートが入っている建物があります。
「カフェもいいねぇ。小じゃれたところでたまには食べてみようか」
「ぼくはイヤだ! 小じゃれたところでなんか、食べたくない!」
 強硬に言い張る息子。
 たしかにこの寝ぐせ頭の小学生男児連れでは、小じゃれたところで食べても、ムードもなにもないかも。
 というわけで、お昼をとる場所は、サイエンスセンターの向かいにあるフードコートに決定。
 駐車場から降りて、ぐるっとまわってフードコートへ。
 レ・ジャルダンのフードコートとくらべると、ごく小さなフードコートですが、どこのお店のメニューにも必ずあるのはプーティン(^^;)です。
 ここでは、パニーニのセットを頼むことにしました。巨大パニーニと、サラダが二種類(トマトサラダとフルーツサラダを指差して選択)、飲み物はレジの近くにおいてあった「ホワイトティー」というペットボトル。
「一セットで足りる?」
 旦那の意見をここでは聞いておくべきでした。
 息子、パニーニが思ったより美味しかったのか、パクパク。でも、飲み物を飲んだとたん、しかめつら。
「これ、ヘン」
Photo_2
 あわてて、わたしも飲んでみたところ……お茶の味はまったくしません。なんか、妙な香料の味。これ、なにかしら。
 旦那も飲んで、首をひねっています。
「わかった。これって、ラズベリー味よ」
「どこがティーだ」
 ホテルからここまで持ち歩いて、ぬるくなったミネラルウォーターを息子に飲ませ、大人はホワイトティーをもっぱら消化。
「ママ、ホワイトティー、買うの禁止ね」
 と、息子から釘を刺されてしまいました。
 それにしても、ホワイトティーという表示にだまされました。カナダは奥が深い(^^;)。

 おなかがくちくなったところで、せっかくここまで来たのだからと、サイエンスセンターをのぞいてみます。
 入場料がかかるので、ショップだけというところが、けちくさいわたしたちです。
「ママ、これ、買おう!」
 そのショップで息子が見つけて、意気揚々と報告してきたのは、カナダのトランプ。いろんなものをちょぼちょぼコレクトしている彼ですが、そのなかにはトランプも含まれているのでした。
「去年、デンバーではトランプを二組買ったから、今年のカナダは三組買って帰る」
 いや、きみ、そんな倍々ゲームは必要ないから(^^;)。
「でも、これ、買う、買う」
 たしかにそのトランプ、ちょっと変わっていました。カナダのいろいろなこと(面積とか、地理とか)が一枚一枚に書かれているのです。カナダ図鑑トランプとでもいうのでしょうか。もちろん、表記は英語とフランス語だから、息子にはちんぷんかんぷんなのですが、彼にはそれは関係ないらしい。
 そして……めでたくそのトランプは息子のコレクションに加わることとなったのでありました。


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